底抜け宇宙旅行 (Sokona_ke Uch_uryoko)
作品概要
『底抜け宇宙旅行』は、1960年に公開されたアメリカのコメディ映画『Visit to a Small Planet』の日本公開版です。監督はノーマン・タウログ。主演は、お馴染みのジェリー・ルイスとディーン・マーティン。
あらすじ
遠い未来から地球にやってきた、小惑星の住人であるカスペル(ジェリー・ルイス)は、地球の文化や風俗に興味津々。しかし、彼は地球の男性は皆、女性と結婚したがることを知り、自分も結婚したいと願うようになります。そこで彼は、地球に派遣されている大使(ディーン・マーティン)に協力を仰ぎ、結婚相手を探し始めますが、彼の珍奇な行動と宇宙人ならではの勘違いから、事態は思わぬ方向へと転がっていきます。
カスペルは、恋愛における地球の常識を全く理解しておらず、その言動は終始、地球人を困惑させます。彼は、愛する女性を振り向かせるために、宇宙人ならではの超能力を駆使しようとしますが、それがまた騒動を巻き起こす原因に。宇宙船の不時着、秘密警察の追跡、そしてカスペルの無邪気な悪戯の数々が、息つく間もなく繰り広げられます。
一方、大使は、カスペルの珍騒動を収拾しようと奔走しますが、彼自身もカスペルの巻き起こす騒動に巻き込まれてしまい、事態はますます混沌としていきます。最終的に、カスペルは無事結婚できるのか、そして地球に平和は訪れるのか、コメディならではのハチャメチャな展開と、二人の息の合った掛け合いが観客を笑いの渦に巻き込みます。
キャスト
- ジェリー・ルイス:カスペル
- ディーン・マーティン:大使
- ジョーン・コリンズ:フェラ
- パディ・プレンティス:リラ
スタッフ
- 監督:ノーマン・タウログ
- 脚本:エドワード・バーグ・ルイス
- 撮影:ロバート・L・シュー
- 音楽:レオ・フォレスト
制作背景と評価
『底抜け宇宙旅行』は、当時絶大な人気を誇っていたジェリー・ルイスとディーン・マーティンという、アメリカン・コメディ界の黄金コンビが主演を務めた作品です。彼らの織りなすドタバタ劇と、宇宙を舞台にしたSF要素の組み合わせは、当時の観客に新鮮な驚きと笑いを提供しました。
ジェリー・ルイスのコミカルな演技と、ディーン・マーティンのクールなツッコミの対比は、この映画の最大の魅力と言えるでしょう。ルイス演じるカスペルの、純粋ゆえの無邪気な行動や、地球の常識を覆すような言動は、観る者すべてを笑顔にします。また、マーティン演じる大使の、カスペルの騒動に振り回されながらも、どこか憎めないキャラクターも魅力的です。
SFコメディとしての側面も持ち合わせており、宇宙船や宇宙人の登場、そして宇宙人ならではのテクノロジーが物語のスパイスとなっています。しかし、あくまでコメディが主軸であり、SF的な描写に深みはありません。あくまで、笑いのための小道具として機能しています。
批評家からの評価は、ルイスとマーティン主演の他の作品と比較すると、やや分かれるところもあります。しかし、彼らのファンにとっては、間違いなく楽しめる一本であり、往年のファンにとっては懐かしい作品と言えるでしょう。日本においては、「底抜け」シリーズとして親しまれており、その独特のユーモアセンスは、日本でも多くのファンを獲得しました。
作品の魅力
- ジェリー・ルイスの怪演:彼の身体を張ったギャグや、独特の表情、声の使い方は、観る者を惹きつけます。
- ディーン・マーティンの相棒ぶり:ルイスの暴走を巧みに受け止めるマーティンの存在が、コメディに安定感を与えています。
- SFコメディとしての斬新さ:宇宙を舞台にした奇想天外なストーリーは、当時の観客に新鮮な驚きを与えました。
- 心温まるテーマ:騒動の末に、愛や友情といった普遍的なテーマが描かれており、単なるドタババコメディーではない深みもあります。
その他
『底抜け宇宙旅行』は、その後のSFコメディ作品にも影響を与えたと言われています。特に、宇宙人と地球人の交流を描くというテーマは、多くの作品で取り上げられるようになりました。
また、この映画を観ることで、当時のアメリカのコメディ映画のトレンドや、ジェリー・ルイスとディーン・マーティンという、伝説的なコメディアンの魅力を垣間見ることができます。
現代の視点で見ると、SF的な設定はやや古く感じるかもしれませんが、普遍的な笑いは色褪せることなく、今なお楽しむことができます。家族で、あるいは友人と一緒に、気楽に笑いたい時にぴったりの作品です。
まとめ
『底抜け宇宙旅行』は、ジェリー・ルイスとディーン・マーティンの黄金コンビによる、痛快SFコメディです。宇宙人カスペルの地球での珍道中を、予測不能な展開と二人の絶妙な掛け合いで描きます。SF的な要素はあくまで笑いを盛り上げるためのスパイスですが、純粋な笑いと心温まるメッセージが込められた、不朽の名作と言えるでしょう。コメディ映画の歴史における重要な一作であり、彼らのファンはもちろん、笑いを求めるすべての人におすすめできる作品です。

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