映画「未来からの脱出」(原題: Looper) 詳細・その他
映画「未来からの脱出」(原題: Looper)は、2012年に公開されたアメリカのSFアクション映画です。監督・脚本はライアン・ジョンソンが務め、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ブルース・ウィリス、エミリー・ブラントといった豪華キャストが出演しています。
あらすじ
舞台は、2044年のアメリカ。この時代、タイムトラベルは可能ですが、法的には厳しく規制されており、その技術は裏社会で悪用されていました。富裕層が自分たちの犯罪の証拠隠滅のために、ターゲットを過去に送り込み、そこでもみ消し屋「ルーパー」と呼ばれる殺し屋に始末させていたのです。
主人公のジョー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)も、そんなルーパーの一人でした。彼は、ターゲットが送られてくる指定された場所で、容赦なくその命を奪う冷酷な男です。しかし、ある日、ジョーの前に現れたターゲットは、30年後の未来から送られてきた、驚くべきことに未来の自分(ブルース・ウィリス)でした。
未来のジョーは、過去の自分に「殺されるはずのターゲット」を殺さなかった理由を語ります。それは、未来で「ルビコン」と呼ばれる連続殺人犯が台頭し、多くの命を奪っていること。そして、そのルビコンを止めるためには、過去のジョーが未来の自分を殺すことが唯一の手段だと訴えます。
過去のジョーは、未来の自分を始末することで、自分の「賞金」を得て、穏やかな生活を送ろうとします。しかし、未来のジョーは、過去のジョーに「指」を切り落とさせ、未来の自分に逃げ道を作ります。それは、未来のジョーが、彼を追う組織から逃れるための、そして過去のジョーが未来の自分を殺すという使命から解放されるための、最後の望みでした。
以降、過去のジョーは、未来の自分を追うことになります。しかし、未来のジョーの行動は、過去のジョーの人生に深く関わってきます。未来のジョーが、ある女性(エミリー・ブラント)との間に息子をもうけ、その息子が将来ルビコンになる可能性を危惧した過去のジョーは、その未来を阻止しようとします。
映画は、過去のジョーと未来のジョー、二人のジョーの葛藤と、時間軸を巡る複雑な物語が展開されます。
キャスト
* ジョセフ・ゴードン=レヴィット (若い頃のジョー)
* ブルース・ウィリス (未来のジョー)
* エミリー・ブラント (サラ)
* ポール・ダノ (トム)
* ジェフ・ダニエルズ (エイブ)
* パイパー・ペラーボ (ゾーイ)
* ガース・ブレナン (キッド)
制作秘話・その他
* ライアン・ジョンソン監督は、この脚本を10年以上温めていたと言われています。
* ジョセフ・ゴードン=レヴィットは、若い頃のジョーを演じるにあたり、特殊メイクと prosthetics(義肢装具)によってブルース・ウィリスに似せるための徹底的な努力をしました。彼の顔のパーツの多くはCGで加工されており、ブルース・ウィリスの若い頃の映像を参考にしています。
* エミリー・ブラントは、映画の撮影中に妊娠していたにも関わらず、激しいアクションシーンをこなしました。
* 映画のタイトルである「Looper」は、ターゲットを始末する殺し屋のことを指し、彼らが「ループ」する(終わりのない)仕事をしていることから名付けられました。
* 時間旅行のルールやパラドックスについての描写は、SFファンだけでなく、一般の観客にも分かりやすいように工夫されています。
テーマ
映画「未来からの脱出」は、単なるSFアクションにとどまらず、運命、選択、因果応報といった普遍的なテーマを扱っています。登場人物たちは、自分たちの選択が未来にどのような影響を与えるのか、そして未来を変えるために過去をどう操作すべきなのか、という難しい問いに直面します。特に、過去のジョーと未来のジョーの行動は、自分自身の人生を左右するものであり、観客に深い思索を促します。
評価
公開当時、映画「未来からの脱出」は批評家から高い評価を受けました。特に、ライアン・ジョンソン監督の練り込まれた脚本、巧みなストーリーテリング、そして俳優陣の熱演が称賛されました。SF映画としての斬新なアイデアと、登場人物たちの人間ドラマが融合した点が、多くの観客の心を掴みました。アクションシーンの迫力もさることながら、時間旅行という複雑な設定を、感情的な深みを持たせて描いたことが、本作の魅力と言えるでしょう。
まとめ
「未来からの脱出」は、タイムトラベルを題材にしたSFアクションでありながら、登場人物たちの葛藤や人生の選択という普遍的なテーマを深く掘り下げた、非常に完成度の高い作品です。ジョセフ・ゴードン=レヴィットとブルース・ウィリスの熱演、エミリー・ブラントの存在感、そしてライアン・ジョンソン監督の巧みな演出が、観る者を飽きさせない展開を生み出しています。SFファンはもちろん、骨太な人間ドラマを求める観客にも強くお勧めできる一本です。

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