続・光る眼 宇宙空間の恐怖

歴代SF映画情報

続・光る眼 宇宙空間の恐怖

作品概要

『続・光る眼 宇宙空間の恐怖』(原題: The Midwich Cuckoos)は、1960年に発表されたジョン・ウィンダムのSF小説『中略された子供たち』(The Midwich Cuckoos)を原作とした、1960年のイギリス映画『続・光る眼』(原題: Village of the Damned)の続編として企画され、1964年に公開されたSFホラー映画です。前作に引き続き、謎の能力を持った子供たちが人類に脅威をもたらすというテーマを扱っています。ただし、原作小説とは直接的な関連性は薄く、前作の映画版の続編という位置づけが強い作品です。

監督は『宇宙葬』のドン・チャフィが務め、主演には前作に引き続きデイヴィッド・ファラールとバーバラ・シェリーがキャスティングされています。前作の感動的な終焉とは異なり、本作はより暗く、絶望的なトーンで物語が展開されます。子供たちの超能力がどのように進化し、人類にとってより深刻な脅威となるのかが描かれる点が見どころです。

あらすじ

物語は、前作で子供たちの能力を抑え込むために犠牲となった主人公、ゴードン・ザレム博士(デイヴィッド・ファラール)の死から数年後を舞台に始まります。彼の遺志を継いだ科学者たちは、謎の子供たち「マクウィドンの子供たち」の能力を研究し、その脅威を根絶しようと試みます。しかし、子供たちは驚異的なスピードで成長し、その超能力はさらに強力になっていきます。

子供たちはテレパシー能力を駆使し、大人たちを操り、自分たちの意のままに動かすようになります。彼らは、自分たちの生存と繁栄のために、人間社会を支配しようと企みます。科学者たちは、子供たちの支配を阻止しようと必死の抵抗を試みますが、子供たちの強力な精神攻撃と組織的な行動の前に、次々と無力化されていきます。

特に、子供たちのリーダー格である「デイヴィッド」(ゲイリー・ローク)の存在が際立ちます。彼は、冷徹かつ計算高い知性で、大人たちを翻弄し、計画を遂行していきます。大人たちの間には、子供たちへの恐怖と、彼らを排除しようとする行動、そして一部には子供たちの能力に魅了される者も現れ、社会は混乱に陥ります。

物語のクライマックスでは、科学者たちは子供たちを殲滅するための最終手段を講じますが、子供たちの超能力はそれを上回り、絶望的な状況に追い込まれます。最終的に、子供たちは自分たちの計画を遂行し、人類の未来は暗いものとなることを示唆して物語は幕を閉じます。

登場人物

デイヴィッド・ファラール演じるゴードン・ザレム博士

前作の主人公であり、本作では彼の遺志を継ぐ者たちによって物語が紡がれます。彼の死は、子供たちの脅威がまだ終わっていないことを示唆しています。

バーバラ・シェリー演じるアントワネット・ゼレム

ゴードン博士の妻であり、子供たちの母親の一人。子供たちの能力に葛藤し、苦悩する姿が描かれます。

ゲイリー・ローク演じるデイヴィッド

マクウィドンの子供たちのリーダー格。冷徹で知的な能力を持ち、大人たちを操り計画を進めます。本作における主要な敵役です。

シェーン・ブライデン演じるピーター

子供たちの一人。デイヴィッドに次ぐ存在として描かれることもあります。

特徴とテーマ

超能力と進化

本作の最大の特徴は、子供たちが持つ驚異的な超能力です。テレパシー、念動力、そして高度な知性といった能力は、単なる特殊能力ではなく、人類の進化の次の段階を示唆するものとして描かれます。彼らの能力は、既存の人間の社会構造や倫理観を根底から覆す可能性を秘めています。

人類の無力さと絶望

前作とは異なり、本作では人類が子供たちの能力に対してほとんど対抗できない様子が描かれます。大人たちは恐怖に支配され、子供たちの巧妙な策略に翻弄されます。この無力感と、希望が見えない絶望的な結末は、観客に強い印象を与えます。

集団心理と支配

子供たちのテレパシー能力は、個人の意思を奪い、集団を意のままに操る能力としても描かれます。これは、集団心理や情報操作といった現代社会にも通じるテーマを扱っていると言えます。子供たちは、自分たちの目的のために、大人たちの心理的な弱点や社会の構造的な問題を巧みに利用します。

倫理的な問い

超能力を持つ子供たちをどう扱うべきか、という倫理的な問いも投げかけられます。彼らは人間なのか、それとも人類にとっての脅威なのか。彼らを排除することが正義なのか。作品は、こうした難しい問いに対して明確な答えを示さず、観客に考えさせる余地を残します。

制作背景と評価

『続・光る眼 宇宙空間の恐怖』は、前作『続・光る眼』の成功を受けて製作されました。しかし、前作が持つ独特の静謐な恐怖と感動的な終焉とは異なり、本作はより直接的で、SFホラーとしてのエンターテイメント性を重視した作りになっています。そのため、前作のファンからは評価が分かれることもあります。

当時の批評では、子供たちの冷徹さや、大人たちの無力さが、観客に不快感や不安感を与えたという意見もありました。しかし、その後のSFホラー映画の発展において、本作の描く「子供の脅威」や「進化のジレンマ」といったテーマは、後の作品に影響を与えたとも言えるでしょう。

映像技術の面では、当時のB級映画としては意欲的な試みが見られます。子供たちの能力を表現するための特殊効果や、緊迫感のある音楽などが、作品の雰囲気を盛り上げています。

まとめ

『続・光る眼 宇宙空間の恐怖』は、前作の続編として、よりダークで絶望的なSFホラーの世界を描き出した作品です。謎の超能力を持つ子供たちの進化と、それに対する人類の無力さを克明に描き、観客に深い恐怖と倫理的な問いを投げかけます。原作小説とは異なる独自の世界観を展開しながらも、「異質な存在」がもたらす脅威というテーマは、時代を超えて観る者の心に響くものがあるでしょう。SFホラーのファン、そして前作のファンであれば、必見の作品と言えます。

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