五月の七日間

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映画「五月の七日間」詳細・その他

作品概要

「五月の七日間」(原題:Seven Days in May)は、1964年に公開されたアメリカの政治スリラー映画です。監督はジョン・フランケンハイマー、出演はバート・ランカスター、カーク・ダグラス、フレデリック・マーチなど、豪華キャストが名を連ねます。本作は、ランドール・ゲレットの同名小説を原作としており、架空の合衆国大統領暗殺計画を描いた緊迫感あふれる物語が展開されます。

あらすじ

物語は、冷戦下のアメリカで、大統領によるソ連との軍縮条約調印が目前に迫る中、軍部の一部がこの条約に強く反対するところから始まります。ジョーダン軍将軍(アヴァ・ガードナー)は、アメリカの威信を脅かす条約を阻止するため、ジョシュア・ライマン大佐(カーク・ダグラス)ら、条約に反対する一部の軍人たちと秘密裏に結託し、大統領暗殺計画を企てます。しかし、ライマン大佐の親友であり、軍事法廷の検事であるポール・ハラス大佐(マーティン・バルサム)は、この計画に疑念を抱き、独自に調査を開始します。ハラス大佐は、ライマン大佐の自宅で秘密裏に保管されていた書類を発見し、衝撃的な事実――すなわち、軍部によるクーデター計画――を知ることになります。彼は、この計画を阻止するために、単身、大統領に真実を伝えようと奔走します。大統領(フレデリック・マーチ)は、情報源を明かさず、ただ「疑わしい」というハラス大佐の証言を信じ、水面下で調査を進めます。やがて、暗殺計画の存在が明らかになり、大統領とハラス大佐は、軍部の権力者たちとの熾烈な心理戦と時間との戦いを繰り広げます。果たして、彼らはアメリカを未曽有の危機から救うことができるのか、その行方が描かれます。

キャスト

  • カーク・ダグラス:ポール・ハラス大佐
  • バート・ランカスター:ジョーダン軍将軍
  • フレデリック・マーチ:アメリカ合衆国大統領
  • キャメロン・ミッチェル:エイブラムス大佐
  • マーティン・バルサム:ポール・ハラス大佐
  • エドワード・ビショップ:トム・ギフォード
  • バール・アイヴス:ニール
  • アンディ・デバイン:トム・ギフォード
  • ヘルムート・ダンティン:ニコライ
  • ジョン・アンダーソン:トマ
  • リチャード・アンダーソン:ヒックス
  • アヴァ・ガードナー:エレン

スタッフ

  • 監督:ジョン・フランケンハイマー
  • 製作:ジョージ・エンジェル
  • 脚本:ロッド・サーリング
  • 原作:ランドール・ゲレット
  • 撮影:ハリー・ストラドリング
  • 音楽:エリザベス・サール

製作背景

「五月の七日間」は、1960年代初頭の緊迫した国際情勢、特にキューバ危機(1962年)の影響を強く受けて制作されました。軍部が政権を揺るがす可能性というテーマは、当時のアメリカ社会に現実的な恐怖感を与えました。原作者のランドール・ゲレットは、軍部の権力濫用を警戒し、この小説を執筆したと言われています。映画化にあたっては、ジョン・フランケンハイマー監督が、その緊張感とスリリングな展開を巧みに映像化し、観客を screen に引きつけました。

特筆すべき点

本作の大きな魅力は、その周到な脚本と、それを最大限に引き出した俳優陣の演技です。特に、カーク・ダグラス演じるハラス大佐の苦悩と決断、バート・ランカスター演じるジョーダン将軍の冷徹な野心、そしてフレデリック・マーチ演じる大統領の人間味あふれるリーダーシップは、物語に深みを与えています。また、ロッド・サーリングによる脚本は、観客に常に疑念を抱かせ、結末まで緊張感を途切れさせません。映画全体を通して、権力、忠誠、そして民主主義の脆さといったテーマが重厚に描かれており、単なるエンターテイメントに留まらない、示唆に富む作品となっています。

批評と評価

公開当時、「五月の七日間」は批評家から高い評価を受けました。特に、そのサスペンスフルな展開、巧みな演出、そして力強い演技が称賛されました。現代においても、政治スリラーの傑作として語り継がれており、そのテーマ性は今なお色褪せることがありません。観客は、軍事的な陰謀だけでなく、政治的な駆け引きや、個人の倫理観といった要素に引き込まれます。

まとめ

「五月の七日間」は、冷戦時代の緊迫した状況を背景に、軍部によるクーデター計画という大胆なテーマを扱った、見応えのある政治スリラーです。巧みな脚本、卓越した演出、そして名優たちの熱演により、観客は最後まで screen に釘付けになります。権力への野心、国家への忠誠、そして民主主義の守護といった普遍的なテーマを扱い、観る者に多くのことを考えさせる作品であり、映画史に名を刻む一作と言えるでしょう。

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