宇宙大怪獣ドゴラ
概要
『宇宙大怪獣ドゴラ』(うちゅうだいかいじゅうドゴラ)は、1964年(昭和39年)12月20日に公開された日本の特撮怪獣映画。東宝製作。カラー、シネマスコープ、86分。
宇宙から飛来した巨大なゼリー状の怪獣ドゴラが、地球に襲来し、人類に危機が迫る物語。当時としては画期的な「宇宙怪獣」という設定が注目を集め、そのユニークな生態や攻撃方法が観客の想像力を掻き立てた。
あらすじ
謎の小型飛行物体が地球に飛来。それは宇宙から飛来した、ゼリー状の怪獣ドゴラであった。ドゴラは、金属を主食とし、それをエネルギー源として増殖していく恐ろしい存在だった。
ドゴラは、まず日本の主要な金属資源を襲い始める。東京タワーや電波塔、さらには新幹線までを溶かして吸収し、その巨体をさらに大きくしていく。科学者たちはドゴラの生態を解明し、その弱点を探ろうとするが、ドゴラの攻撃は苛烈を極める。
ドゴラは、そのゼリー状の体から「プラズマ光線」を発射し、あらゆるものを溶解させる。その破壊力は凄まじく、都市は壊滅の危機に瀕する。
人類の存亡をかけた戦いが、科学者たちの知恵と勇気、そして特殊部隊の活躍によって繰り広げられる。果たして、人類は宇宙怪獣ドゴラを撃退し、地球を守ることができるのか?
登場怪獣・キャラクター
宇宙大怪獣ドゴラ
本作品のメイン怪獣。宇宙空間に漂う星雲から発生した、ゼリー状の巨大生命体。身長、体重は不明だが、その巨体は都市を覆い尽くすほど。
- 生態:金属を主食とし、それを吸収してエネルギー源とする。金属を分解する特殊な消化液を分泌する。
- 能力:
- プラズマ光線:口(らしき部分)から発射される強力な光線。あらゆる物質を溶解させる。
- 伸縮自在な体:ゼリー状の体は、壁をすり抜けたり、細部に入り込んだりすることが可能。
- 増殖能力:金属を吸収することで、その体積を増やす。
- 弱点:低周波音に弱いという設定がある。
岩本博士
ドゴラを研究する科学者。ドゴラの生態を解明し、その弱点を見つけ出すために奔走する。冷静沈着で、常に理論的なアプローチで問題を解決しようとする。
石田
岩本博士の助手。博士をサポートし、現場での調査や実験に積極的に参加する。若さと行動力で、博士を支える。
南條
自衛隊の隊員。ドゴラとの戦闘に駆り出される。勇敢で、任務遂行のために危険を顧みない。
制作背景と特筆事項
『宇宙大怪獣ドゴラ』は、当時の怪獣映画ブームの中で製作された作品の一つである。東宝特撮の黄金期を支えたスタッフ・キャストが多数参加しており、その映像技術は高く評価されている。
- 斬新な怪獣デザイン:「ゼリー状」という、それまでの怪獣には見られないユニークなデザインは、子供たちだけでなく大人にも衝撃を与えた。
- VFXの進化:ドゴラが都市を溶解させるシーンなどは、当時の技術としては非常に高度な特殊撮影が駆使されており、その迫力は今なお色褪せない。
- 宇宙からの脅威:地球外生命体、特に怪獣という設定は、当時のSFブームを反映しており、宇宙への憧れや恐怖といった感情を刺激した。
- 音楽:伊福部昭による音楽は、作品に壮大さと緊張感を与えている。
影響
『宇宙大怪獣ドゴラ』は、その後の怪獣映画に影響を与えた作品として、一定の評価を得ている。特に、ユニークな怪獣デザインや、斬新な設定は、後続の作品で様々な形で取り入れられた。
また、ドゴラが持つ「物質を溶解させる」という能力は、怪獣の攻撃方法として一つのジャンルを確立したとも言える。
まとめ
『宇宙大怪獣ドゴラ』は、単なる怪獣映画としてだけでなく、当時の科学技術の粋を集めた特撮作品としても、また、宇宙という未知なるものへの畏敬の念を描いたSF作品としても、非常に興味深い。ドゴラのユニークなデザイン、プラズマ光線による破壊描写、そして人類が未知の脅威に立ち向かう姿は、今もなお多くのファンに愛されている。

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