有史前惑星の女たち

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映画:有史前惑星の女たち

概要

『有史前惑星の女たち』(原題: Voyage of the Rock Aliens)は、1984年に公開されたアメリカのSFコメディ映画です。監督はジェームズ・ウィテカー、脚本はピーター・ドブソンが務めました。宇宙から地球にやってきた不良エイリアンたちが、ティーンエイジャーのバンドに巻き込まれ、騒動を巻き起こすというストーリーが展開されます。主演は、女優であり歌手のジェニファー・ウォーンズ、そして当時人気を博したティーンアイドル、キム・ゴードンが務めています。また、映画のサウンドトラックには、当時の人気ロックバンドの楽曲が多数使用されており、音楽ファンにも注目されました。

あらすじ

物語は、遠い宇宙の銀河系に存在する「キグナス星」から始まります。この星の住人たちは、地球で言うところの「不良」のような存在であり、好戦的で騒がしい種族でした。彼らのリーダーである「デジャ」は、地球に潜入し、その支配を企てます。しかし、彼らの宇宙船は地球の大気圏突入時に不具合を起こし、カリフォルニア州の高校の敷地に墜落してしまいます。偶然にも、その高校には、売れないロックバンド「ザ・グロウル」がいました。彼らは、学校のタレントショーで優勝し、レコード契約を勝ち取ろうと必死でした。エイリアンたちは、地球の文化、特にロックンロールに興味を持ち、ザ・グロウルに接近します。当初は奇妙な仲間として扱われたエイリアンたちですが、その規格外のパワーと奇行は、バンドの活動に予測不能な事態を引き起こします。一方、地球の警察や軍隊は、墜落した宇宙船とエイリアンの存在に気づき、彼らの捕獲に乗り出します。デジャ率いるエイリアンたちは、地球の少年少女たちとの交流を通じて、地球の文化や感情を学び、徐々に地球への侵攻という目的を忘れ、友情や愛情に目覚めていきます。しかし、彼らを追う追っ手もまた、強力な武器と組織力を持っており、地球の高校生たちとの間に、SFコメディならではのドタバタ劇が繰り広げられます。

キャスト

  • ジェニファー・ウォーンズ as デジャ(エイリアンたちのリーダー)
  • キム・ゴードン as スーザン(ロックバンド「ザ・グロウル」のボーカル)
  • ピーター・コールマン as ギル(ロックバンド「ザ・グロウル」のギタリスト)
  • ロバート・アラン・ゴールドスタイン as ザーグ(エイリアンの一員)
  • キャス・ハワード as ズィーナ(エイリアンの一員)

制作背景

『有史前惑星の女たち』は、1980年代のSF映画ブームと、ティーンエイジャー向けのコメディ映画の流行を背景に制作されました。当時の若者文化を象徴するロックミュージックを多用し、エイリアンという非日常的な存在と、日常的な学園生活を組み合わせることで、ユニークなエンターテイメント作品を目指しました。監督のジェームズ・ウィテカーは、本作で長編映画監督デビューを果たし、その後のキャリアへと繋げていきます。脚本のピーター・ドブソンは、 SFとコメディの要素を巧みに融合させ、予測不能な展開とユーモア溢れるセリフで観客を楽しませようとしました。また、映画に登場するロックバンド「ザ・グロウル」の楽曲は、映画のために書き下ろされたオリジナル曲が多く、そのサウンドトラックは当時の若者たちの間で話題となりました。エイリアンのデザインは、80年代SF映画特有の、ややチープながらも個性的で記憶に残るものとなっています。

音楽

本作の音楽は、映画の魅力の一つです。特に、ロックバンド「ザ・グロウル」の楽曲は、彼らのバンド名にふさわしい、エネルギッシュでキャッチーなものが中心です。劇中では、彼らのライブシーンや、エイリアンたちが地球の音楽に触れるシーンなどで、様々な楽曲が披露されます。サウンドトラックには、当時の人気ロックアーティストの楽曲も収録されており、映画の時代感を色濃く反映しています。エイリアンたちが地球の音楽に驚き、興奮する様子は、音楽の力を象徴するシーンとして描かれています。

評価と影響

『有史前惑星の女たち』は、公開当時、批評家からは賛否両論がありましたが、カルト的な人気を獲得しました。その独特の世界観、コミカルな演出、そして80年代の音楽やファッションが、一部の観客に強く支持されたのです。特に、エイリアンたちのキャラクター造形や、彼らが地球の文化に戸惑いながらも順応していく様子は、ユーモラスに描かれています。また、SFコメディというジャンルにおいて、後の作品に影響を与えた側面も否定できません。ティーンエイジャーの恋愛模様や友情、そして異文化交流といったテーマが、SFという枠組みの中で描かれている点が、ユニークと言えるでしょう。

まとめ

『有史前惑星の女たち』は、80年代SFコメディの隠れた名作として、今なお愛される作品です。宇宙からやってきた不良エイリアンたちが、地球の高校生バンドと交流し、騒動を巻き起こすというストーリーは、SFファンはもちろん、コメディ映画ファンにも楽しめる要素が満載です。印象的な音楽、個性的なキャラクター、そして予測不能な展開は、観る者を飽きさせません。SF、コメディ、そしてロックンロールが融合した、ユニークなエンターテイメント作品として、その魅力を今に伝えています。

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