映画:宇宙大怪獣ギララ
概要
宇宙大怪獣ギララ(うちゅうだいかいじゅうギララ)は、1967年(昭和42年)12月16日に公開された日本の特撮怪獣映画です。大映(現:角川大映映画)が製作し、配給はダイニチ映配が行いました。監督は石田勝心。
本作は、「宇宙戦艦ヤマト」や「宇宙大怪獣ドゴラ」といったSF作品に触発された、宇宙を舞台にした怪獣映画として企画されました。しかし、当時の大映の経営状況の厳しさもあり、予算の制約の中で知恵を絞って製作された作品でもあります。その結果、独特のシュールな雰囲気と、今なお語り継がれる個性的な怪獣デザインが生まれました。
製作背景
1960年代後半、日本の特撮映画界は、「ゴジラ」シリーズをはじめとする怪獣映画ブームの最盛期を迎えていました。しかし、一方で製作費の高騰や、SFブームの到来といった変化もあり、既存の路線からの脱却も模索されていました。
大映も例外ではなく、「大魔神」シリーズで成功を収める一方、新しいSF怪獣映画への挑戦として「宇宙大怪獣ギララ」が企画されました。監督には、「遊星王子」シリーズなどを手がけた石田勝心が起用されました。
しかし、当時の大映は経営的に苦しい状況にあり、製作費の捻出には苦労したと言われています。そのため、セットの使い回しや、限られたリソースの中で最大限の効果を出すための工夫が随所に見られます。特に、ギララのデザインや動きには、その制約の中で生まれた斬新なアイデアが光っています。
あらすじ
銀河辺境の謎
物語は、地球から遠く離れた銀河辺境で、謎の宇宙船が謎の物体に襲われるシーンから始まります。その物体こそが、本作のタイトルにもなっている宇宙大怪獣ギララでした。ギララは、その強烈なエネルギー波によって船を破壊し、宇宙空間を漂流します。
地球への到来
一方、地球では、科学者たちが宇宙からの異常なエネルギー反応を観測し、その正体を突き止めようとしていました。その中心人物となるのが、田宮博士(演:田宮二郎)とエミー(演:中山麻里)です。彼らは、そのエネルギー源が地球に接近していることを突き止め、警戒態勢に入ります。
やがて、ギララは地球に到達。その巨大な姿と、想像を絶する破壊力で、都市を次々と蹂躙していきます。ギララの放つエネルギー波は、あらゆる物質を溶かし、破壊する能力を持っていました。
ギララ撃退への道
地球防衛軍は、ギララに対抗するため、あらゆる手段を講じますが、その圧倒的な力の前になすすべがありません。田宮博士は、ギララの弱点を探るべく、必死の研究を続けます。
その過程で、ギララが特定の周波数の超音波に弱いことが判明します。この発見を元に、科学者たちは、ギララを撃退するための巨大な超音波発生装置を開発します。
そして、最終決戦。地球の運命を賭け、開発された超音波兵器がギララに放たれます。果たして、人類は宇宙大怪獣ギララを撃退することができるのか、という展開で物語はクライマックスを迎えます。
登場人物
主要人物
- 田宮博士(演:田宮二郎): ギララの研究に心血を注ぐ科学者。冷静沈着で、人類の危機を救うために奮闘します。
- エミー(演:中山麻里): 田宮博士の助手であり、ヒロイン。美しく聡明で、博士を支えます。
- 黒田隊長(演:藤巻潤): 地球防衛軍の勇敢な隊長。ギララとの戦闘で最前線に立ちます。
その他
その他、地球防衛軍の隊員や、宇宙開発公社の職員など、多くの登場人物が物語を彩ります。
宇宙大怪獣ギララ
デザインと能力
宇宙大怪獣ギララは、本作の最大の見どころの一つです。そのデザインは、当時の特撮怪獣としては非常に斬新で、異形さを追求したものとなっています。
- 外見: ギララは、鳥類のような頭部と、昆虫のような体、そして鋭い爪を持つ、不定形な怪獣として描かれています。全身は、宇宙空間の物質を吸収して成長するため、常に変化し続けるようなイメージです。
- 能力: 最大の能力は、その体から放つ「ギララ光線」と呼ばれるエネルギー波です。この光線は、あらゆる物質を原子レベルで分解し、破壊する驚異的な力を持っています。また、宇宙空間を自在に飛行する能力も備えています。
- 弱点: ギララの弱点として、特定の周波数の超音波が発見されます。この弱点を利用して、人類はギララ撃退の糸口を見つけます。
製作上の苦労
ギララの造形や特殊効果は、限られた予算の中で、当時の最先端の技術を駆使して生み出されました。特に、ギララの不定形な動きや、光線の表現には、当時のスタッフたちの創意工夫が光っています。
スタッフ・キャスト
監督
石田勝心
特技監督
有川貞昌
脚本
平井壮二、関沢新一
出演
- 田宮二郎
- 中山麻里
- 藤巻潤
- 丸井太郎
- 砂塚権次郎
- 春日俊夫
- 岸田森
- 小林昭二
- 杉浦直樹
- 小林哲子
評価と影響
当時の評価
「宇宙大怪獣ギララ」は、公開当時、興行収入としてはまずまずの成績を収めましたが、批評家からの評価は賛否両論でした。その斬新すぎるデザインや、ストーリー展開について、理解できないという意見もありました。
しかし、一方で、そのユニークな怪獣、シュールな世界観、そして SF 映画としての実験的な試みは、一部の映画ファンや、後のクリエイターに強い印象を与えました。
後世への影響
本作は、その後の日本の特撮映画に、直接的な影響を与えたというよりは、むしろ「怪獣映画の多様性」という点で、その存在感を示しています。
特に、ギララのデザインは、従来の怪獣とは一線を画すものであり、その異形な姿は、後のクリエイターたちの想像力を刺激しました。また、SF的な要素と怪獣映画を融合させた試みは、後のSF怪獣映画の発展にも間接的に寄与したと言えるでしょう。
現在では、カルト的な人気を誇る作品として、国内外で再評価されています。その独特な世界観や、時代を超えて愛されるシュールな魅力は、今なお多くのファンを魅了し続けています。
まとめ
「宇宙大怪獣ギララ」は、1960年代後半という時代背景の中で、限られた予算と知恵を絞って生み出された、意欲的な特撮怪獣映画です。宇宙空間を舞台にした壮大なスケール、斬新で異形な怪獣デザイン、そしてユニークでシュールな世界観は、多くの観客に衝撃を与えました。
その後の特撮映画の主流とは異なる路線を歩みましたが、その実験性と個性が、カルト的な人気を博し、今なお語り継がれる名作となっています。SFと怪獣映画の融合という挑戦は、後の作品にも影響を与え、「宇宙大怪獣ギララ」は、日本の特撮史におけるユニークな一ページを刻んでいます。
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