サンダーバード6号:詳細・その他
概要
1968年に公開された、イギリスのスーパーマリオネーション人形劇シリーズ「サンダーバード」を原作とした長編実写映画である「サンダーバード6号」(原題: Thunderbird 6)は、国際救助隊サンダーバードが、恐るべき陰謀に立ち向かう姿を描いています。テレビシリーズで培われた独特の世界観と、特撮技術の粋を集めたアクションシーンは、当時子供から大人まで多くの観客を魅了しました。本作は、シリーズの集大成とも言える壮大なスケールで展開され、サンダーバードシリーズのファンにとっては必見の作品となっています。
あらすじ
物語は、英国の最新鋭航空機「マスターズ・エクスプレス」の処女飛行から始まります。この飛行機は、わずか3時間でロンドンからニューヨークを結ぶという驚異的な性能を誇り、世界中から注目を集めていました。しかし、このマスターズ・エクスプレスには、国際救助隊サンダーバードを潰滅させようとする謎の組織「Z(ゼット)」が仕掛けた恐るべき陰謀が隠されていました。Zは、マスターズ・エクスプレスをハイジャックし、その驚異的な速度と性能を利用して、サンダーバードの秘密基地を襲撃しようと企てます。
国際救助隊のトレーシー一家は、この危機を察知し、サンダーバード1号から6号までの全てのメカを駆使して、マスターズ・エクスプレス奪還とZの陰謀阻止に乗り出します。特に、空を駆ける最新鋭の航空機であるマスターズ・エクスプレスと、それを追撃するサンダーバード5号(改良型)やサンダーバード1号といった、空対空のチェイスシーンは本作の見どころの一つです。
Zのリーダーである「ザ・マスター」は、かつて国際救助隊の設立に関わった人物であり、その知識を逆手に取ってサンダーバードを追い詰めます。彼の目的は、サンダーバードの存在意義を否定し、自らの支配下に置くことでした。
物語のクライマックスでは、マスターズ・エクスプレスがサンダーバードの秘密基地へ迫る中、サンダーバードチームは、Zの巧妙な罠をかいくぐり、空中でマスターズ・エクスプレスを止めるという、極めて困難なミッションに挑みます。この際、テレビシリーズではあまり登場しなかったサンダーバード4号(潜水艇)や、新たに登場するサンダーバード6号(多目的特殊航空機)も活躍を見せます。
登場メカニック
サンダーバード1号
高速偵察機。単独での高速移動や情報収集に特化しており、本作でもZの動向を探るために活躍します。
サンダーバード2号
大型貨物輸送機。様々なコンテナを搭載し、現場での活動を支援します。本作では、その運搬能力が活かされる場面があります。
サンダーバード3号
宇宙ロケット。宇宙空間での救助活動や、基地への人員輸送などに使用されます。
サンダーバード4号
小型潜水艇。水中での救助活動に特化しており、本作では予想外の場面でその能力を発揮します。
サンダーバード5号
宇宙ステーション。地球上からの通信傍受や、宇宙空間からの監視を行います。本作では、改良が施され、より強力な能力を発揮します。
サンダーバード6号
本作で初登場となる、多目的特殊航空機。小型のサンダーバード2号とも言える機能を持っており、状況に応じて様々な装備を換装可能です。空中での機動性に優れ、本作のクライマックスにおいて重要な役割を果たします。
マスターズ・エクスプレス
Zが計画に利用する、最新鋭の超高速旅客機。その登場が物語の引き金となります。
制作背景と特徴
「サンダーバード6号」は、テレビシリーズの終了後、ファンからの強い要望を受けて制作されました。ジェリー・アンダーソンとメアリー・リニハン・アンダーソン夫妻が監督を務め、テレビシリーズで培われたスーパーマリオネーション技術と、実写特撮の融合がさらに進化しています。特に、ミニチュアセットの精巧さや、ミニチュアと実写の合成技術は、当時の水準を遥かに超えていました。
本作は、テレビシリーズのファンサービスも豊富に盛り込まれており、お馴染みのキャラクターたちが登場するだけでなく、彼らの活躍を彩るサンダーバードメカニックの魅力を存分に堪能できます。また、テレビシリーズが持つ「国際的な危機に立ち向かう」というテーマは、本作でも健在であり、よりスケールアップした物語として描かれています。
音楽も本作の魅力の一つです。バリー・グレイによる壮大なオーケストラサウンドは、サンダーバードの世界観をさらに盛り上げ、視聴者を作品の世界に引き込みます。特に、メインテーマは、聴くだけでワクワクするような、冒険心を掻き立てるメロディーです。
評価と影響
「サンダーバード6号」は、劇場公開時、子供たちの間で絶大な人気を博しました。テレビシリーズで培われた、科学技術と正義感に溢れる国際救助隊の活躍は、子供たちの憧れとなり、多くの子供たちがサンダーバードのメカニックに夢中になりました。
批評家からは、特撮技術の素晴らしさ、ストーリーの面白さ、そしてキャラクターの魅力などが高く評価されました。しかし、一部では、テレビシリーズの要素を詰め込みすぎたために、ストーリー展開がやや駆け足になっているという指摘もありました。
本作は、その後のSF映画や特撮作品に大きな影響を与えました。特に、ミニチュアワークや特殊効果の技術は、その後の映画制作の模範となり、多くのクリエイターにインスピレーションを与えたと言えるでしょう。
現代においても、「サンダーバード6号」は、その時代を超えた魅力で、多くのファンに愛され続けています。特撮ファンはもちろん、SF映画や冒険活劇が好きな方にも、ぜひ一度は鑑賞していただきたい作品です。
まとめ
「サンダーバード6号」は、国際救助隊サンダーバードの活躍を描いた、壮大なスケールの実写映画です。最新鋭の航空機を巡る陰謀に立ち向かうトレーシー一家の活躍は、スリリングなアクションと、当時の最先端の特撮技術によって、臨場感たっぷりに描かれています。テレビシリーズのファンはもちろん、SFアクション映画の傑作として、時代を超えて楽しめる作品と言えるでしょう。サンダーバードシリーズの魅力を凝縮した、まさに集大成とも言える一作です。

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