怪獣総進撃

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怪獣総進撃:詳細・その他

概要

『怪獣総進撃』(かいじゅうそうしんげき)は、1968年(昭和43年)8月1日に公開された東宝製作の特撮映画である。ゴジラシリーズの第9作目にあたり、シリーズ初のカラー作品(東宝チャンピオンまつり)として公開された。本作品は、これまでのゴジラシリーズに登場した怪獣たちが一堂に会する、まさに「怪獣総進撃」というタイトル通りの壮大なスケールで展開される。地球侵略を目論む謎の宇宙人「キロニアス」の陰謀を阻止するため、世界各国から集結した怪獣たちが、ゴジラを筆頭に地球の平和を守るために戦う物語である。

ストーリー

物語は、世界各地で発生する謎の怪獣出現事件から始まる。当初は単なる自然災害のように思われていたが、やがてこれらの事件が、謎の宇宙人・キロニアスによる地球侵略計画の一環であることが判明する。キロニアスは、月面基地から地球の怪獣たちを操り、人類に恐怖を植え付け、最終的に地球を征服しようと企んでいた。

この危機に対し、国際科学技術庁(ISS)の職員たちは、怪獣たちを鎮静化し、キロニアスの陰謀を阻止するための作戦を練る。怪獣たちの出現場所や行動パターンを分析し、最終的に彼らを「怪獣ランド」と呼ばれる孤島に集結させることに成功する。そこで、怪獣たちの支配者である「ベビー」の存在が明らかになる。ベビーは、キロニアスに利用されており、その影響下で怪獣たちを操っていた。

ゴジラをはじめとする怪獣たちは、キロニアスの本拠地である月面基地へと向かい、壮絶な戦いを繰り広げる。ゴジラは、ベビーを助け出し、キロニアスの野望を打ち砕くために、宇宙空間での激闘を繰り広げる。最終的に、ゴジラたちは地球の平和を守り抜くことに成功するのであった。

登場怪獣

本作の最大の見どころは、歴代ゴジラシリーズに登場した多数の怪獣たちが一堂に会することである。主な登場怪獣は以下の通りである。

  • ゴジラ:本作の主人公であり、最強の怪獣。地球の守護者として、キロニアスと戦う。
  • ラドン:空を自在に飛び回る翼竜。ゴジラと共に戦う頼もしい相棒。
  • モスラ:聖なる蝶の怪獣。人間に友好的で、ゴジラやラドンと協力する。
  • アンキロサウルス:強固な甲羅を持つ恐竜。
  • バラゴン:地中を掘り進む能力を持つ怪獣。
  • ゴロザウルス:獰猛な肉食恐竜。
  • ミニラ:ゴジラの息子。まだ幼いが、勇敢な一面を見せる。
  • マンダ:巨大な蛇の怪獣。
  • クモンガ:巨大な蜘蛛の怪獣。
  • キングギドラ:三つ首の黄金の竜。当初はキロニアスに操られていたが、後にゴジラと激闘を繰り広げる。

これらの怪獣たちが、それぞれ得意な能力を駆使して戦う姿は、子供から大人までを魅了した。特に、怪獣ランドでの怪獣たちの生態描写や、最終決戦での総力戦は、シリーズの集大成とも言える。

制作背景と特徴

『怪獣総進撃』は、東宝特撮映画の隆盛期に制作された作品であり、多くの特撮ファンに愛されている。本作の制作にあたっては、過去のシリーズで登場した怪獣の着ぐるみを再利用するだけでなく、新たにデザインされた怪獣も登場させるなど、工夫が凝らされた。また、ストーリー展開においても、宇宙人の侵略というSF的な要素を取り入れることで、新たなファン層の開拓を目指した。

本作は、シリーズ初のカラー作品として公開されたことも特筆すべき点である。色彩豊かな怪獣たちの姿は、観客に強烈な印象を与え、特撮映画の表現の幅を広げた。また、子供向けの「東宝チャンピオンまつり」で公開されたこともあり、子供たちが親しみやすい、勧善懲悪のストーリーテリングとなっている。

しかしながら、前作までのシリアスな作風とは異なり、本作はややコミカルな要素も取り入れられている。怪獣たちの行動や、登場人物たちのやり取りには、子供向けのエンターテイメントとしての側面が強く表れている。この点については、評価が分かれる部分もあるが、シリーズの多様性を示す作品として、独自の地位を確立している。

関連作品と影響

『怪獣総進撃』は、その後のゴジラシリーズにも大きな影響を与えた。本作で登場した「怪獣ランド」という設定は、後の作品でも度々登場し、怪獣たちの楽園として描かれるようになる。また、多数の怪獣が登場するクロスオーバー作品の形式は、後の『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』(1969年)や『ゴジラ対ヘドラ』(1971年)といった作品にも受け継がれていく。

さらに、本作の成功は、怪獣映画というジャンル全体にも貢献したと言える。世界各国から怪獣が集結し、地球の危機に立ち向かうという物語は、国際的なスケール感と、多様なキャラクターの魅力によって、幅広い観客層に支持された。

まとめ

『怪獣総進撃』は、歴代の怪獣たちが集結し、宇宙人の陰謀に立ち向かう、東宝特撮映画の金字塔とも言える作品である。シリーズ初のカラー作品として、色彩豊かに描かれた怪獣たちのバトルは、子供から大人までを魅了し、特撮映画の可能性を広げた。ストーリーテリングにおいては、子供向けのエンターテイメント要素が強いが、その壮大なスケールと、個性豊かな怪獣たちの活躍は、今なお多くのファンに愛され続けている。過去のシリーズの集大成であると同時に、未来への展望をも感じさせる、ゴジラシリーズにとって非常に重要な一作と言えるだろう。

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