原始人100万年

SF映画情報

原始人100万年

『原始人100万年』(原題: One Million Years B.C.)は、1966年に公開されたイギリス・アメリカ合作のSFアドベンチャー映画です。ハマー・フィルム・プロダクションズが製作し、監督はドン・シャープが務めました。この映画は、初期人類の生活と、彼らが遭遇する恐竜や自然災害といった過酷な環境を、壮大なスケールで描いた作品として知られています。

製作背景と公開

『原始人100万年』は、1950年代後半から1960年代にかけてハマー・フィルムが製作した、古典的なモンスター映画やSF作品の流れを汲む作品です。特に、恐竜が登場する冒険活劇というジャンルは、当時の映画界で人気を博していました。本作は、前作『恐竜100万年』(原題: One Million B.C.、1940年)のリメイクという位置づけではありますが、ストーリーや登場するクリーチャーは大きく異なっています。

本作は、1966年7月29日にイギリスで、同年12月21日にアメリカで公開されました。世界各国で公開され、その異色な内容と視覚効果(当時としては)で話題を呼びました。

ストーリー概要

物語は、遥か昔、原始時代を舞台に、アクーラ族とブロック族という二つの部族の対立を中心に展開します。アクーラ族の若者であるトゥマク(ジョン・リチャードソン)は、勇敢で力強い戦士ですが、規律を重んじる父である族長との間に確執を抱えています。ある日、トゥマクは部族の掟を破ったことで追放されてしまいます。

過酷な荒野をさまようトゥマクは、そこで恐ろしい恐竜や自然の猛威に襲われながらも、たくましく生き延びていきます。そして、彼はそこで同じように部族を追放された美しい女性、ロアナ(ラクエル・ウェルチ)と出会います。二人は互いに惹かれ合い、共に生き抜くための困難な旅を続けます。

彼らの旅は、火山の噴火、巨大な角を持つトリケラトプスとの遭遇、そして凶暴なアロサウルスとの死闘など、数々の危機に満ちています。また、部族間の争いも描かれ、原始社会における生存競争の厳しさが浮き彫りにされます。最終的に、トゥマクとロアナは、新たな希望を見出すべく、困難を乗り越え、それぞれの運命に立ち向かっていきます。

登場人物

トゥマク(Tumak)

アクーラ族の若き戦士。父との対立から部族を追放されるが、その勇敢さと生存能力で過酷な原始世界を生き抜く。

ロアナ(Loana)

ブロック族の美しい女性。トゥマクと同様に部族を追放された過去を持ち、彼と運命を共にする。

族長

アクーラ族の長であり、トゥマクの父。厳格な人物で、部族の掟を重んじる。

視覚効果とクリーチャーデザイン

『原始人100万年』の最大の特徴の一つは、その視覚効果です。特に、ストップモーション・アニメーションの巨匠レイ・ハリーハウゼンが手掛けた恐竜の造形とアニメーションは、当時の観客に大きな驚きを与えました。巨大なトリケラトプス、アロサウルス、そしてプテラノドンなどが登場し、人間との迫力ある対決シーンは、この映画の見どころとなっています。

ハリーハウゼンは、モデルを粘土などで製作し、コマ撮りで動かすという手法を用いて、あたかも恐竜が実在するかのようなリアルな動きを表現しました。また、映画には、原始的な生活様式や、自然の脅威(火山噴火、氷河期)なども描かれ、原始時代という舞台設定を視覚的に印象づけています。

ロケーションと撮影

映画の撮影は、主にカナリア諸島で行われました。その荒涼とした大地や、火山の景観などが、原始的な世界の雰囲気を巧みに表現しています。監督のドン・シャープは、自然の雄大さと、そこで生きる人間の小ささ、そして過酷さを、映像美を駆使して描いています。

テーマ

『原始人100万年』は、単なる怪獣映画や冒険活劇にとどまらず、いくつかのテーマを内包しています。

生存競争と進化

過酷な自然環境の中で、人間がどのように生き残り、進化していくのかというテーマが根底にあります。部族間の争いや、恐竜との対決は、その生存競争の激しさを象徴しています。

文明と野性

部族ごとの生活様式や、火の使用、道具の利用といった初期文明の描写と、人間の原始的な感情や本能との対比が描かれています。

愛と絆

過酷な状況下で出会ったトゥマクとロアナの愛と絆は、物語の推進力となり、人間的な感情の重要性を示唆しています。

評価と影響

『原始人100万年』は、公開当時、その斬新な視覚効果と、当時のセックスシンボルであったラクエル・ウェルチの存在感も相まって、興行的に成功を収めました。批評家からの評価は様々でしたが、映画史における怪獣映画やSFアドベンチャー映画の系譜において、特筆すべき作品の一つとして位置づけられています。

特に、レイ・ハリーハウゼンの手掛けた恐竜アニメーションは、後続の映画製作者たちに大きな影響を与えました。また、ラクエル・ウェルチが、毛皮のビキニ姿で登場するシーンは、映画史に残る iconic なイメージとなり、彼女のキャリアにおける代表的な役柄の一つとなりました。

その他

本作のポスターデザインも非常に有名で、ラクエル・ウェルチが恐竜に立ち向かう姿は、多くの映画ファンに記憶されています。

『原始人100万年』は、その時代を代表するエンターテイメント作品であり、恐竜映画のファンや、古典SF映画に興味のある人々にとって、今なお魅力的な作品と言えるでしょう。

まとめ

『原始人100万年』は、1966年に公開された、ハマー・フィルム製作のSFアドベンチャー映画です。原始時代を舞台に、部族の追放者であるトゥマクとロアナが、恐竜や自然災害といった過酷な環境を生き抜く姿を描いています。レイ・ハリーハウゼンによる迫力ある恐竜アニメーション、カナリア諸島での壮大なロケーション撮影、そしてラクエル・ウェルチの魅力的な出演が特徴です。生存競争、進化、愛といったテーマも含まれており、公開当時から現在に至るまで、恐竜映画やSF映画のファンに愛されている作品です。

コメント