ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘
作品概要
『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(ゴジラ・エビラ・モスラ なんかいのだいけっとう)は、1966年12月17日に東宝株式会社によって製作・配給された日本の特撮怪獣映画である。ゴジラシリーズとしては第7作にあたる。
あらすじ
太平洋の小島・インファント島に住む小美人(小林亜星、中島春子)は、愛するモスラを失った悲しみに沈んでいた。そんな中、島に流れ着いた密輸船の乗組員たちが、謎の巨大なエビ「エビラ」の襲撃を受ける。エビラは島に生息する「レッドローター」という植物を餌にしていたが、密輸業者はそのレッドローターを奪おうとしていたのだ。
一方、南洋の島で財宝を探していた主人公・榊(宝田明)と仲間たちは、インファント島に漂着する。そこで小美人からエビラの脅威と、島を守るためにモスラを蘇らせてほしいと頼まれる。しかし、モスラはまだ繭の状態であり、復活には時間がかかる。
そんな折、偶然にも近くの海域にゴジラが出現。ゴジラはエビラと激しい戦いを繰り広げる。しかし、エビラはゴジラの熱線を浴びても倒れない強敵だった。絶体絶命のピンチに陥った榊たちは、小美人の歌の力でモスラを覚醒させ、ゴジラとモスラの共闘によってエビラを撃退しようとする。
登場怪獣
ゴジラ
本作では、核エネルギーの象徴であるゴジラが、エビラという新たな脅威に対抗するために登場する。熱線や放射能火炎といったお馴染みの攻撃に加え、水中での激しい戦闘も繰り広げる。
エビラ
本作で初登場となる巨大なエビ型の怪獣。鋭いハサミと硬い甲羅を持ち、水中での活動を得意とする。インファント島に生息するレッドローターを主食とし、その植物を巡って人間や他の怪獣と対立する。
モスラ
インファント島の守護神であり、蝶の姿をした巨大な怪獣。小美人の歌によって操られ、鱗粉攻撃や糸攻撃で敵を援護する。本作では、エビラやゴジラといった強力な怪獣との戦いを支援するために、その能力を発揮する。
キャスト
- 宝田明(榊)
- 若林映子(初江)
- 小林亜星(小美人A)
- 中島春子(小美人B)
- 久保明(山岸)
- 平田昭彦(赤間)
- 佐藤允(黒岩)
- 上田吉二郎(大山)
- 夏木陽介(ゴジラ) ※声
- 中山昭二(ナレーション)
スタッフ
- 製作:田中友幸
- 監督:福田純
- 脚本:関沢新一
- 特技監督:有川貞昌
- 音楽:伊福部昭
制作秘話
本作は、当初『ゴジラ対エビラ』というタイトルで企画されていた。しかし、モスラも登場させることになり、『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』へと変更された。
エビラのデザインは、日本の食卓にも馴染みのあるエビをモチーフにしているが、その恐ろしさを際立たせるために、巨大化され、凶暴な性格が与えられた。
小美人の歌は、物語の重要な要素であり、モスラを呼び覚ますための鍵となる。この歌は、本作のために書き下ろされたオリジナル楽曲である。
本作の特徴
怪獣同士の迫力あるバトル
本作の最大の見どころは、ゴジラとエビラが繰り広げる、水中と地上での壮絶なバトルシーンである。二大怪獣のぶつかり合いは、観客に興奮とスリルをもたらす。
インファント島の描写
南国の楽園のようなインファント島は、美しい映像で描かれている。そこに潜むエビラの脅威との対比が、物語に深みを与えている。
社会風刺
密輸業者による自然破壊や、人間たちの欲望といったテーマが描かれており、単なる怪獣映画に留まらない社会風刺も含まれている。
まとめ
『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』は、ゴジラシリーズの中でも、ユニークな怪獣の組み合わせと、南国のロケーション、そして社会風刺といった要素が盛り込まれた、バラエティ豊かな作品である。エビラという新たな敵の登場や、ゴジラとモスラの共闘など、見どころが満載の、子供から大人まで楽しめるエンターテイメント作品と言えるだろう。

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