映画:火星人地球大襲撃(原題:Mars Attacks!)
火星人地球大襲撃(Mars Attacks!)は、1996年に公開されたティム・バートン監督によるSFコメディ映画です。1960年代に東洋ゴム(現:トーヨータイヤ)が展開した「火星人襲来」シリーズのトレーディングカードを原作としており、その独特な世界観とブラックユーモアが特徴です。
概要
映画は、突如として地球に飛来した火星人たちの、悪意に満ちた、しかしどこかコミカルな地球侵略を描いています。火星人たちの「アクアック!」という鳴き声や、彼らの奇妙なデザイン、そして人間たちのパニックぶりなどが、観る者に強烈な印象を残します。
物語の始まり
物語は、アメリカの様々な場所で、火星からの巨大な宇宙船が出現するところから始まります。当初、地球人は平和的な交流を試みますが、火星人たちはその期待を裏切り、容赦なく人間たちを襲い始めます。火星人たちは、レーザー銃のような武器で人間を跡形もなく消滅させるなど、その残虐性も際立っています。
登場人物と人間模様
映画には、様々な背景を持つキャラクターたちが登場します。
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大統領一家
アメリカ大統領(ジャック・ニコルソン)とその妻(グレン・クローズ)、そして娘(ナタリー・ポートマン)が、この危機にどう立ち向かうかが描かれます。大統領は理性的に事態を収拾しようとしますが、事態は悪化の一途をたどります。
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科学者
火星人の目的や弱点を探ろうとする科学者(ピーター・フォーク)や、その助手(サラ・ジェシカ・パーカー)も重要な役割を果たします。
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一般市民
カジノ王(ロッド・スタイガー)、タレントエージェント(サラ・ジェシカ・パーカー)、そして彼らに翻弄される一般市民など、多様な人々が火星人の襲撃に巻き込まれます。彼らの人間ドラマが、ブラックユーモアを交えて展開されます。
火星人の特徴
火星人たちは、大きく丸い頭、大きな黒い目、そして細い腕と足を持つ、独特なデザインをしています。彼らのコミュニケーション手段は「アクアック!」という鳴き声のみですが、その声色や表情で感情を表現します。彼らは知能は高いものの、どこか子供っぽく、残虐な行為を楽しむ様子が描かれています。
ユニークな展開とブラックユーモア
火星人地球大襲撃の最大の特徴は、その予測不能な展開と、容赦ないブラックユーモアです。多くのキャラクターが、あっけなく、そしてユーモラスに死んでいきます。しかし、その死は悲惨さを強調するのではなく、むしろ皮肉な笑いを誘います。
意外な弱点
物語が進むにつれて、火星人たちには意外な弱点があることが明らかになります。それは、地球の音楽、特にカントリーミュージックでした。この弱点が、地球の運命を左右する鍵となります。
映像と音楽
ティム・バートン監督らしい、ダークでユーモラスな映像スタイルが全編にわたって貫かれています。火星人のクリーチャーデザインや、彼らの攻撃シーンは、CG黎明期ならではのチープさが逆に味となり、独特の魅力を放っています。ダニー・エルフマンが手掛ける音楽も、不穏でありながらもどこか軽快で、映画の世界観を盛り上げています。
原作について
映画の原作となった「火星人襲来」シリーズのトレーディングカードは、1960年代にアメリカで人気を博しました。そのカードに描かれた、火星人が地球を侵略する様子のイラストや、そのキャッチコピーなどが、映画に大きな影響を与えています。
まとめ
火星人地球大襲撃は、単なるSFパニック映画ではなく、人間の愚かさや、予期せぬ状況下での人間模様を、ブラックユーモアたっぷりに描いた作品です。その独特のキャラクター造形、予測不能なストーリー展開、そしてティム・バートン監督ならではの映像美は、観る者に強烈なインパクトを与え、カルト的な人気を博しています。派手なアクションや感動的なストーリーを期待する観客には合わないかもしれませんが、ユニークで、かつ風刺の効いたSFコメディを求めるのであれば、ぜひ一度は観るべき映画と言えるでしょう。
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