マグマ大使

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マグマ大使:詳細・その他

作品概要

「マグマ大使」は、1966年(昭和41年)10月2日から1967年(昭和42年)7月3日まで、フジテレビ系列で毎週日曜日の19時から19時30分にかけて放送された、円谷プロダクション制作による特撮テレビドラマです。全39話。

本作は、当時の特撮テレビ番組としては画期的な「合成技術」を多用したことが特筆されます。主人公である少年、滝昇(たき のぼる)が、謎の異星人・アトラスから託されたペンダントを操作することで、巨大なロボット「マグマ大使」を呼び出し、地球侵略を目論む怪獣や異星人と戦うというストーリー展開が繰り広げられました。

物語の舞台は、平和な日本。しかし、突如として現れる異形の敵によって、その平和が脅かされます。そんな危機を救うのが、少年の力で呼び出されるマグマ大使なのです。マグマ大使は、その圧倒的なパワーと必殺技「マグマ・シューター」を駆使して、次々と襲来する強敵に立ち向かいます。

制作背景と時代

1960年代後半は、日本の高度経済成長期であり、テレビというメディアが家庭に普及し、子供たちの間で特撮ヒーロー番組が人気を博した時代でした。

「マグマ大使」が制作された1966年は、円谷プロダクションが「ウルトラQ」や「ウルトラマン」といった大ヒット作を生み出した時期と重なります。これらの作品で培われた特撮技術は、「マグマ大使」でも随所に活かされています。特に、マグマ大使と怪獣が激しく戦うシーンにおける、「コマ撮り」「光学合成」といった技術は、当時の視聴者に大きなインパクトを与えました。

しかし、「マグマ大使」は「ウルトラマン」のような国民的な人気を獲得するには至りませんでした。その理由として、ストーリー展開の単調さや、ヒーローの活躍がやや受動的であるという指摘もあります。それでも、本作が特撮史に与えた影響は決して小さくありません。

登場人物・メカニック

主人公

  • 滝昇(たきのぼる):主人公の少年。アトラスからマグマ大使を呼び出すペンダントを託される。正義感が強く、勇敢な性格。
  • アトラス:マグマ大使の操縦者である異星人。地球の平和を守るために、昇に協力を申し出る。
  • 滝春彦(たき はるひこ):昇の父親。冷静沈着で、異星人や怪獣の脅威に立ち向かう。
  • 滝紀子(たき のりこ):昇の母親。家族を心配しながらも、昇を応援する。

マグマ大使

マグマ大使は、惑星「M」から来た異星人アトラスが操縦する、巨大なロボットヒーローです。その名前の通り、「マグマ」をエネルギー源としており、熱線や炎を操る能力を持っています。

外見は、赤と銀を基調とした、力強いデザインが特徴です。必殺技は、胸部から発射される強力な光線「マグマ・シューター」。この光線で、数々の怪獣を撃破してきました。また、背中に背負った翼による飛行能力や、怪力も兼ね備えています。

マグマ大使の操縦は、滝昇が持つペンダントによって行われます。昇がペンダントを操作することで、マグマ大使は出現し、アトラスが内部から操縦するという設定です。

敵キャラクター

「マグマ大使」には、多種多様な怪獣や異星人が登場し、地球を脅かします。これらの敵キャラクターは、当時の子供たちの想像力を掻き立てる、ユニークなデザインが多く見られました。

  • ゴドラ:初期に登場した怪獣。
  • ムガロ
  • アゴン
  • ヘルター
  • デビルマン
  • ゼノン
  • イワザウルス
  • ギルモス
  • スモッグ
  • サンダー
  • キングジャイアント
  • アブドル
  • ギャオス
  • ベムラー
  • バラン
  • レッドキング

これらの怪獣は、それぞれが特殊な能力や弱点を持っており、マグマ大使との激しい戦闘を繰り広げました。

特徴・技術

「マグマ大使」の最大の特徴は、その「合成技術」の活用にあります。当時のテレビ番組では、まだ珍しかった光学合成技術を駆使し、マグマ大使と怪獣が実景の中に登場しているかのような、臨場感あふれる映像表現を実現しました。

合成技術の革新

本作で多用された合成技術は、主に以下のものが挙げられます。

  • 光学合成:実景とミニチュア、あるいは実景とキャラクターの映像を重ね合わせる技術。
  • コマ撮り:人形や模型を少しずつ動かしながら撮影するストップモーション・アニメーション。怪獣の動きなどを表現するのに用いられました。
  • マットペイント:背景画を描き、そこに実景を合成する技術。

これらの技術を駆使することで、限られた予算と撮影期間の中で、ダイナミックなアクションシーンを作り出すことが可能になりました。特に、マグマ大使が空を飛ぶシーンや、怪獣が街を破壊するシーンなどは、視聴者に大きな驚きと興奮を与えました。

ストーリーと演出

物語は、基本的に一話完結の形式で進行します。毎回ののように異星人や怪獣が襲来し、マグマ大使がそれを撃退するというパターンが繰り返されました。

演出面では、「特撮の神様」と称される円谷英二氏の遺伝子を受け継ぐスタッフたちが、その技術力を存分に発揮しました。迫力ある戦闘シーンはもちろんのこと、怪獣のデザインや、その生態設定なども、子供たちの想像力を掻き立てる要素となっていました。

影響と評価

特撮番組への影響

「マグマ大使」は、商業的な成功という点では「ウルトラマン」などに及ばなかったものの、その後の特撮番組に与えた影響は無視できません。特に、「合成技術」の積極的な導入は、特撮表現の可能性を広げ、後続の作品に大きな示唆を与えました。

また、異星人との共存や、地球の平和を守るというテーマは、当時の子供たちに正義感や勇気を育む上で、一定の役割を果たしたと言えるでしょう。

現代における評価

現代の視点から見ると、ストーリーの荒さや、一部の演技のぎこちなさなど、古さを感じる部分も少なくありません。しかし、当時の子供たちにとっては、「マグマ大使」は憧れのヒーローであり、心に残る作品として記憶されています。

近年では、そのレトロな魅力や、初期の特撮技術の貴重な資料として、再評価する声も聞かれます。放送当時に視聴していた世代にとっては、懐かしい思い出を呼び覚ます存在であり、新たな世代にとっては、日本の特撮史の一端を知るための貴重な作品と言えるでしょう。

まとめ

「マグマ大使」は、1960年代後半に放送された、円谷プロダクション制作の特撮テレビドラマです。謎の異星人アトラスと少年・滝昇が協力し、巨大ロボット「マグマ大使」を操って地球を侵略者から守る物語が展開されます。

本作の最大の特徴は、当時のテレビ番組としては画期的であった「合成技術」の積極的な活用です。光学合成やコマ撮りなどを駆使した迫力ある映像表現は、視聴者に大きなインパクトを与えました。

「マグマ大使」は、国民的な人気には至らなかったものの、その後の特撮番組における合成技術の発展に貢献し、日本の特撮史において一定の足跡を残した作品と言えます。放送当時の子供たちにとっては、間違いなくヒーローであり、懐かしさと共に、その独特の魅力を今なお伝える存在です。

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