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映画「猫」詳細・その他

作品概要

公開情報

  • 日本公開:2020年
  • ジャンル:ドラマ、ミュージカル
  • 上映時間:1時間50分
  • 製作国:アメリカ

スタッフ・キャスト

  • 監督:トム・フーパー
  • 脚本:リー・ホール、トム・フーパー
  • 原作:アンドリュー・ロイド・ウェバーによるミュージカル「キャッツ」
  • 音楽:アンドリュー・ロイド・ウェバー
  • 出演:フランチェスカ・ヘイワード、テイラー・スウィフト、ジェニファー・ハドソン、イドリス・エルバ、ジェームズ・コーデン、ジュディ・デンチ、イアン・マッケラン

あらすじ

舞台設定と物語の始まり

本作は、ロンドンの裏路地を舞台に、年に一度開催される「ヘザリー・ダンス」へと集まる個性豊かな猫たちの物語を描いています。

このダンスの目的は、新しい人生(生まれ変わり)を得るためのただ一匹の猫が選ばれることです。主人公は、初めてヘザリー・ダンスに迷い込んだ、白くて純粋な若い猫「ヴィクトリア」。彼女は、この独特な世界に戸惑いながらも、様々な猫たちとの出会いを経験していきます。

個性豊かな猫たちとの出会い

ヴィクトリアは、そこで多様な猫たちに出会います。彼らはそれぞれが独自の個性、過去、そして秘密を抱えています。

  • オールド・デュトロノミー:猫たちの長老であり、賢明なリーダー。
  • ジェニファ・キャッツ:かつては有名だったが、今は過去の栄光に囚われている猫。
  • ラム・タム・タガー:魅力的で冒険好きな、人気者の雄猫。
  • スキンブルシャンクス:陽気で、鉄道をこよなく愛する猫。
  • グロムテカー:悪辣で、他の猫たちを苦しめる存在。
  • グリドルボーン:かつては美しかったが、今は悲しい過去を持つ猫。

ヴィクトリアは、彼らとの交流を通じて、猫の世界のルールや、それぞれの猫が抱える葛藤を学んでいきます。

葛藤と選択

物語が進むにつれて、ヴィクトリアは自分自身もまた、このダンスに参加する資格があることに気づきます。しかし、彼女にはまだ明確な「自分らしさ」や「過去」がありません。他の猫たちがそれぞれの物語を語る中で、ヴィクトリアは自己を見つけ、真の自分を表現することの重要性を理解していきます。

一方、悪役であるグロムテカーは、選ばれる機会を奪おうと企み、猫たちの間に混乱をもたらします。ヴィクトリアは、純粋な心と勇気をもって、この危機に立ち向かおうとします。

クライマックスと結末

最終的に、ヘザリー・ダンスのクライマックスで、オールド・デュトロノミーが新しい人生を得る猫を選ぶ瞬間が訪れます。ヴィクトリアは、これまでの経験を通して成長し、自分自身を最大限に表現します。彼女の歌と踊りは、選ばれるにふさわしい資質を示すことになります。

結末では、選ばれた猫が、空へと舞い上がり、新しい人生へと旅立っていく姿が描かれます。ヴィクトリアもまた、この経験を経て、彼女自身の道を見つけることでしょう。

制作背景と特徴

革新的な映像技術

本作は、最新のVFX(視覚効果)技術を駆使して、猫たちの姿をリアルに表現することに挑戦しました。俳優たちの身体能力を捉え、デジタルで猫の毛並みや表情、動きなどを細部まで作り上げています。

この技術により、俳優は猫になりきって演じることができ、観客はまるで本物の猫たちがそこにいるかのような没入感を得ることができます。しかし、この革新的なアプローチは、一部の観客からは賛否両論を巻き起こしました。

著名な楽曲の魅力

ミュージカル「キャッツ」の楽曲は、アンドリュー・ロイド・ウェバーによって作曲され、世界中で愛されています。本作でも、その象徴的な楽曲が多数使用されており、耳に残るメロディーと、登場人物たちの感情を表現する歌詞が、物語を豊かに彩っています。

特に、「メモリー」は、このミュージカルを代表する楽曲であり、本作でも感動的なシーンで歌われます。各キャラクターが歌うソロ曲も、それぞれの個性を際立たせています。

キャストの挑戦

本作のキャストには、バレエダンサーとして活躍するフランチェスカ・ヘイワードを筆頭に、テイラー・スウィフト、ジェニファー・ハドソン、イドリス・エルバといった、様々な分野で活躍するエンターテイナーが集結しています。

彼らは、猫になりきるために、ダンスのトレーニングや、猫の動きを研究するなど、多大な努力を払いました。舞台経験豊富な俳優陣と、新進気鋭の才能が融合することで、ユニークなパフォーマンスが実現しました。

評価と反応

批評家からの賛否

映画「猫」は、公開当時、批評家から賛否両論が巻き起こりました。革新的な映像技術は、一部から称賛されましたが、一方で、猫のCG表現の不自然さや、物語の分かりにくさを指摘する声もありました。

特に、観客が慣れ親しんだ「人間」の俳優が猫として描かれることに対して、戸惑いや違和感を抱く意見が多く見られました。しかし、その斬新な試みや、キャストの熱演を評価する声も少なくありませんでした。

興行成績

世界的な興行成績は、期待されたほど振るわなかったという見方もあります。しかし、一部の地域や、ミュージカルファンからは熱狂的な支持を得ることもありました。

まとめ

映画「猫」は、アンドリュー・ロイド・ウェバーの不朽の名作ミュージカルを、最新の映像技術で再構築した意欲作です。猫たちの世界観を、CGと実写を融合させることで、これまでにない映像体験として描き出しました。

個性豊かな猫たちが織りなす物語は、友情、自己発見、そして希望といった普遍的なテーマを扱っています。キャスト陣の熱演と、印象的な楽曲も本作の魅力です。賛否両論を巻き起こした作品ではありますが、その独創性と挑戦的な姿勢は、観る者に強い印象を残すでしょう。

この映画は、ミュージカルファンはもちろんのこと、新しい映像体験を求める観客にも、一度は観てみる価値のある作品と言えるでしょう。

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