サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス(DVD)

SF映画

サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス(DVD)

『サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス』(DVD) 詳細・感想口コミ・その他

作品概要

『サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス』とは

『サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス』は、1974年に公開された、実験的なジャズミュージシャン、サン・ラーが主演・共同脚本・作曲・音楽監督を務めた、SFミュージカル映画です。監督はジョン・コニヤ。サン・ラーの宇宙論、アフリカ系アメリカ人のアイデンティティ、そして音楽の力をテーマに、独特の世界観が展開されます。

あらすじ

舞台は、異星からの侵略者(=「エンティティ」)に追われる、故郷を追われたアフリカ系アメリカ人たち。彼らの救世主となるのは、太陽系外からやってきたサン・ラーでした。彼は、アフリカ系アメリカ人たちを「至福の惑星」(=「スペース・イズ・ザ・プレイス」)へと導くための計画を立てます。その計画とは、新たな故郷を創り出すために、イスパニア(スペイン)の砂漠で「楽園」を築き、そこへ人々を移住させること。しかし、そこにはエンティティの妨害や、自分たちの過去との対峙といった試練が待ち受けていました。物語は、サン・ラーの指揮する「アウター・リミッツ・オーケストラ」による、圧倒的な演奏シーンと、宇宙旅行、そしてアフリカ系アメリカ人の歴史や文化にまつわる寓話的な要素が融合して進行します。

主な登場人物

  • サン・ラー:宇宙から来た救世主。自身の宇宙論を体現する存在。
  • ジミー・ペイジ:エンティティに追われる異星人。サン・ラーに協力を申し出る。
  • セプター:エンティティのリーダー。アフリカ系アメリカ人を故郷から追い出す存在。
  • バズ・ボールド:サン・ラーのバンドメンバー。

DVD情報

収録内容・特典

『サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス』のDVDには、本編の他に、サン・ラーのインタビューや、制作の舞台裏を収めたドキュメンタリー、未公開シーンなどが収録されている場合があります。ただし、DVDのバージョンによって収録内容は異なりますので、購入時にはご確認ください。

映像・音声

オリジナルは16mmフィルムで撮影されたため、粗い質感が特徴的です。DVD化にあたり、ある程度の修復は行われているものの、現代の映画のようなクリアな映像ではありません。しかし、それが逆に、本作の持つ実験的でローファイな魅力を引き立てているとも言えます。音声は、サン・ラーの音楽の魅力を最大限に引き出すべく、ステレオ音声で収録されていることが多いです。

感想・口コミ

映画としての評価

『サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス』は、一般的な映画の枠組みでは語れない作品です。ストーリーは難解で、映像は粗削り。しかし、その斬新なアプローチと、サン・ラーの音楽が織りなす世界観は、観る者に強烈な印象を残します。特に、サン・ラーの登場シーンや、彼の音楽が奏でられる場面は圧巻で、異様な高揚感と感動を呼び起こします。

音楽の魅力

本作の最大の魅力は、やはりサン・ラーの音楽でしょう。アヴァンギャルドでフリージャズの要素を取り入れた彼の楽曲は、聴く者を未知の世界へと誘います。宇宙的なスケール感、未来への希望、そして魂の叫びが、音楽を通してダイレクトに伝わってきます。映画と音楽が一体となった体験は、他では味わえないものです。

テーマ性

『サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス』は、単なるSF映画ではありません。アフリカ系アメリカ人の歴史、奴隷制度、そして民族のアイデンティティといった、重いテーマを内包しています。サン・ラーは、音楽と宇宙論を通して、これらの問題に一つの回答を提示しようとしています。「スペース・イズ・ザ・プレイス」とは、物理的な場所だけでなく、精神的な解放や、自分たちのルーツを再発見する場所でもあるのです。

鑑賞者からの声

  • 「言葉では説明できない、強烈な体験でした。サン・ラーの音楽に魂を揺さぶられました。」
  • 「SF映画というよりは、音楽と哲学が融合したアート作品。何度見ても新しい発見がある。」
  • 「映像は古いが、それすらも作品の一部として楽しめた。サン・ラーのカリスマ性がすごい。」
  • 「アフリカ系アメリカ人の歴史について考えさせられるきっかけになった。」
  • 「万人受けする作品ではないが、ハマる人にはとことんハマるだろう。」

その他

サン・ラーとは

サン・ラー(本名:ハーマン・ブランク・ジャクソン)は、20世紀後半のアメリカを代表するジャズミュージシャン、作曲家、バンドリーダーです。彼は、自身が宇宙から来た存在であると公言し、独自の宇宙論を展開しました。その音楽は、フリージャズ、アヴァンギャルド、エレクトリック・ミュージックなど、様々なジャンルを横断し、常に革新的でした。彼の活動は、音楽だけでなく、詩、演劇、そしてこの映画作品にも及び、多岐にわたる芸術分野に影響を与えました。

本作の意義

『サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス』は、公開当時、実験的な作品として一部でカルト的な人気を博しましたが、その難解さから一般的には広く受け入れられませんでした。しかし、近年、サン・ラーの音楽や思想が再評価されるにつれて、本作も改めて注目を集めています。アフリカ系アメリカ人の歴史や文化を理解する上で、また、既存の価値観にとらわれない自由な発想の源泉としても、本作の意義は大きいと言えるでしょう。

鑑賞にあたって

本作を鑑賞する際には、一般的な映画を観るような感覚ではなく、サン・ラーの世界観に身を委ねるつもりで臨むことをお勧めします。理解しようと構えすぎず、音楽の響きや映像の持つエネルギーを感じ取ることに集中すると、より深く作品を味わうことができるでしょう。

まとめ

『サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス』(DVD)は、サン・ラーという稀有なアーティストの思想と音楽が結晶化した、唯一無二のSFミュージカル映画です。その難解さゆえに、万人向けの作品とは言えませんが、一度その世界に触れると、忘れられない体験となることは間違いありません。映像の粗さ、ストーリーの飛躍といった要素も、本作の持つ実験的でアヴァンギャルドな魅力を形成する一部となっています。音楽の力、自己のルーツ、そして未来への希望を、宇宙的なスケールで描いた本作は、現代においても多くの示唆を与えてくれるでしょう。サン・ラーの音楽ファンはもちろんのこと、既成概念にとらわれないアート作品に触れたい方には、ぜひ一度体験していただきたい一本です。

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