長篇アニメ映画 ザ☆ウルトラマン ウルトラの星へ!! - キャラムービーズ

『ザ☆ウルトラマン ウルトラの星へ!!』は、1979年(昭和54年)に放送されたテレビアニメシリーズ『ザ☆ウルトラマン』の劇場用作品として、同年7月21日に松竹系で公開された長篇アニメーション映画です。ウルトラシリーズとしては初の長編アニメーション映画であり、TVシリーズの総集編に新規作画によるクライマックスシーンを追加した構成となっています。

1. 基本情報

  • タイトル: 長篇アニメ映画 ザ☆ウルトラマン ウルトラの星へ!!
  • 公開年月日: 1979年(昭和54年)7月21日
  • 上映時間: 92分
  • 制作: 円谷プロダクション、日本サンライズ(現:バンダイナムコフィルムワークス)
  • 配給: 松竹
  • スタッフ:
    • 製作:円谷粲
    • プロデューサー:円谷皐、吉井善キ(日本サンライズ)
    • 監督:高橋資祐、神田武幸
    • 総監督:鳥海永行 ※クレジットされているが実質的には監修
    • 脚本:吉川惣司、平野靖司、星山博之、金子裕
    • 構成:吉川惣司
    • 絵コンテ:吉川惣司、神田武幸、高橋資祐、斧谷稔(富野喜幸)、石黒昇
    • キャラクターデザイン:二宮常雄
    • メカニックデザイン:大河原邦男、河森正治(スタジオぬえ)
    • 作画監督:二宮常雄、坂本英明
    • 美術監督:工藤剛一
    • 撮影監督:吉坂研一
    • 音楽:宮内国郎、冬木透
    • 音響監督:千葉耕市
  • 声の出演(主要キャスト):
    • ヒカリ超一郎 / ウルトラマンジョーニアス:富山敬
    • アキヤマ徹男(キャップ):森川公也
    • ゴンドウ大助(隊長):柴田秀勝
    • マルメ敬:兼本新吾
    • トベ・ヒロアキ:二瓶正也
    • 星川ムツミ:滝沢久美子
    • ピグ:滝口順平
    • ウルトラマン(ナレーター兼任):金内吉男
    • ゾフィー:田中秀幸
    • ウルトラセブン:松田重治
    • ウルトラマンジャック:不明
    • ウルトラマンA:不明
    • ウルトラマンタロウ:石丸博也
    • 大賢者:宮内幸平
    • アミア:島本須美
    • ヘラー:内海賢二
    • ロイガー:大木民夫

2. 制作背景

a) TVシリーズ『ザ☆ウルトラマン』の成功
1970年代後半、第二次ウルトラブームが沈静化し、特撮テレビ番組としてのウルトラシリーズは『ウルトラマンレオ』(1974年)の終了後、しばらく途絶えていました。その状況を打破すべく、円谷プロダクションは新たな試みとして、シリーズ初となる連続テレビアニメーションとして『ザ☆ウルトラマン』を企画・制作しました。

制作には、当時『機動戦士ガンダム』などで急成長を遂げていたアニメ制作会社日本サンライズが全面的に協力。これにより、特撮では表現が難しいダイナミックなメカアクション、宇宙空間での戦闘、そして実写とは異なるアニメならではのデザイン性(ウルトラマンジョーニアスの体色変化など)が可能となり、子供たちの間で大きな人気を博しました。

b) 劇場版制作の経緯
TVシリーズの好評を受け、夏休みシーズンの主力作品として劇場版の制作が決定されました。これは、当時流行していたTVアニメの劇場版ブーム(『宇宙戦艦ヤマト』『銀河鉄道999』など)に乗る形でもありました。

ただし、TVシリーズの放送期間中というタイトなスケジュールであったため、完全新作ではなく、TVシリーズの人気エピソードを再編集した総集編に、クライマックスとなる新作パートを追加するという構成が採用されました。これにより、TVシリーズの魅力を凝縮しつつ、映画ならではのスケール感とオリジナリティを打ち出すことが狙われました。

c) タイミングと公開
本作は、初代『ウルトラマン』を実相寺昭雄監督が再編集した劇場版『実相寺昭雄監督作品ウルトラマン』(1979年3月公開)に続く形で公開されました。これにより、旧来のファンと新しいアニメファン双方にアピールし、ウルトラシリーズ全体の活性化を図る狙いもあったと考えられます。夏休み映画として、子供たちを主なターゲットに公開されました。

3. 物語(あらすじ)

本作は大きく二つのパートに分かれます。前半から中盤にかけてはTVシリーズの総集編、そして終盤が劇場版オリジナルの新作パートとなります。

第一部:TVシリーズ総集編パート

物語は、地球防衛軍科学警備隊(Science Guard Party)の訓練生だったヒカリ超一郎が、訓練中の事故で瀕死の重傷を負うところから始まります。その時、彼の前にM78星雲とは別のウルトラの星「U40(ユーフォーティー)」からやってきた平和の使者、ウルトラマンジョーニアスが現れます。ジョーニアスはヒカリの勇気と正義感を認め、彼と一体化することでその命を救います。

科学警備隊の正式メンバーとなったヒカリは、普段は他の隊員たちと共に怪獣や宇宙人の脅威に立ち向かい、ピンチの際には胸の「ビームフラッシャー」を輝かせ、ウルトラマンジョーニアスに変身して戦います。

映画では、TVシリーズ序盤から中盤までの代表的なエピソードがダイジェストで描かれます。

  • 第1話・第2話ベース: ヒカリとジョーニアスの出会い、科学警備隊入隊、最初の敵・冷凍怪獣シーグラーとの戦い。
  • 怪獣との激闘:
    • 地底怪獣バゴン出現とマルメ隊員の活躍。
    • 宇宙忍者ヘクトールとロボット怪獣ジャニュールとの戦い。
    • 宇宙から飛来した双子怪獣ゴキネズラ兄弟と、ピグの故郷の星を滅ぼした宇宙昆虫スピッターとの戦い。
    • 宇宙海賊ギバルーガと怪魚怪獣シーグラーの再襲来。
    • 怪獣戦艦パシルダーとインベーダー軍団との攻防。
  • U40との関わり: ジョーニアスの同胞である女性ウルトラ人アミアが、U40が侵略の危機にあることを知らせるために地球を訪れるエピソードの一部。

これらのエピソードを通じて、ヒカリの成長、科学警備隊のチームワーク、ジョーニアスの多彩な能力、そして次々と現れる強力な怪獣や宇宙人の脅威が描かれます。

第二部:新作パート「ウルトラの星へ!!」

TVシリーズのダイジェストを経て、物語はクライマックスの新作パートへと突入します。

アミアからU40の危機を知らされたヒカリ=ジョーニアスは、科学警備隊の仲間たちと共に、超高速宇宙輸送艦スーパーマードック号に乗り込み、U40へと向かいます。その目的は、U40を侵略し、全宇宙の支配を目論むヘラー軍団からU40を解放することです。

U40へ向かう途中、科学警備隊はヘラー軍団の激しい妨害に遭います。しかし、彼らの危機を救ったのは、M78星雲から駆けつけたウルトラ兄弟(ゾフィー、ウルトラマン、セブン、ジャック、エース、タロウ)でした。ウルトラ兄弟は、科学警備隊をU40へと導き、自らもヘラー軍団との戦いに加勢します。

ついにU40に到着したヒカリたち。しかし、U40はすでにヘラー軍団の総統ヘラーとその参謀ロイガーによって制圧され、ウルトラ人たちは囚われの身となっていました。ジョーニアスと科学警備隊、そしてウルトラ兄弟は、U40の自由と平和を取り戻すため、ヘラー軍団との最終決戦に挑みます。

ジョーニアスは、ヘラーが差し向ける強力なロボット怪獣や戦闘メカと激闘を繰り広げます。科学警備隊もスーパーマードック号の武装を駆使して応戦。ウルトラ兄弟もそれぞれの得意技でヘラー軍団の戦力を削いでいきます。

激戦の末、ジョーニアスは囚われていたU40の大賢者の助力を得てパワーアップ(?描写は曖昧)。ヘラー総統との一騎打ちに臨みます。ジョーニアスの必殺技プラニウム光線とヘラーの暗黒エネルギーが激突。ついにジョーニアスはヘラーを打ち破り、ヘラー軍団を壊滅させます。

U40に平和が戻り、ヒカリ=ジョーニアスはウルトラ兄弟やU40の仲間たちに見送られ、科学警備隊と共に地球への帰路につくのでした。

4. 登場キャラクター紹介

a) ウルトラマンジョーニアスとU40の仲間たち

  • ウルトラマンジョーニアス: M78星雲光の国とは異なるウルトラの星「U40」出身のウルトラ戦士。本来の姿は人間とほぼ同じだが、巨大化して戦うことができる。胸のスターシンボルや体色の変化(赤→青など状況に応じて)が特徴。多彩な光線技(プラニウム光線、アストロ光線など)や超能力を持つ。ヒカリ超一郎と一心同体となり地球を守る。声はヒカリと同じ富山敬が担当。
  • 大賢者: U40の指導者であり、最高の知恵を持つ存在。ヘラーに囚われるが、ジョーニアスに力を与え、勝利に貢献する。
  • アミア: ジョーニアスの妹分にあたるU40の女性ウルトラ人。美しく心優しい。U40の危機を伝えるために地球へやってくる。ヒカリに好意を寄せているような描写もある。
  • ロト: ジョーニアスの親友であるU40の戦士。

b) ヒカリ超一郎と科学警備隊

  • ヒカリ超一郎: 本作の主人公。宇宙ステーションEGG3勤務を経て科学警備隊に入隊。正義感が強く、勇敢な青年。ジョーニアスに変身する能力を持つが、その事実は隊員たちには秘密にしている。
  • アキヤマ徹男(キャップ): 科学警備隊の現場リーダー。冷静沈着で的確な判断力を持つ。隊員からの信頼も厚い。
  • ゴンドウ大助(隊長): 科学警備隊の隊長。厳格だが、部下思いの一面も持つ。スーパーマードック号の指揮を執る。
  • マルメ敬: 科学警備隊のお調子者だが、射撃の名手。怪力自慢でもある。ムードメーカー的存在。
  • トベ・ヒロアキ: 科学警備隊のメカニック担当兼パイロット。メカの知識が豊富で、バーディーなどの操縦技術も高い。
  • 星川ムツミ: 科学警備隊の紅一点。主に通信や分析を担当するが、自ら戦闘に参加することもある。
  • ピグ: 科学警備隊のマスコット的存在のロボット。情報分析やサポートを行う。コミカルな動きで場を和ませる。

c) ウルトラ兄弟(M78星雲)

  • ゾフィー、ウルトラマン、ウルトラセブン、ウルトラマンジャック、ウルトラマンA、ウルトラマンタロウ: 光の国からジョーニアスと科学警備隊を助けるために駆けつける。それぞれの代表的な光線技(M87光線、スペシウム光線、エメリウム光線、スペシウム光線、メタリウム光線、ストリウム光線など)を駆使してヘラー軍団と戦う。アニメでの共演は貴重であり、本作の大きな見せ場の一つ。

d) 敵対勢力

  • ヘラー軍団: 全宇宙の支配を目論む悪の軍団。U40を侵略し、地球にも魔の手を伸ばす。
    • ヘラー: ヘラー軍団の総統。冷酷非情な独裁者。強力な暗黒エネルギーを操る。自ら巨大化してジョーニアスと対決する。
    • ロイガー: ヘラーの腹心である参謀。様々な作戦を立案・実行する。
  • 登場怪獣・宇宙人: 映画の前半(総集編パート)では、TVシリーズに登場した怪獣・宇宙人(シーグラー、バゴン、ヘクトール、ジャニュール、ゴキネズラ、スピッター、ギバルーガ、パシルダーなど)が再登場する。新作パートでは、主にヘラー軍団のロボット怪獣や戦闘メカが敵となる。

5. 登場メカニック紹介

メカニックデザインには、『機動戦士ガンダム』で知られる大河原邦男や、当時スタジオぬえに所属していた河森正治が参加しており、洗練されたデザインが特徴。

  • 科学警備隊:
    • バーディー: 隊員が搭乗する小型戦闘攻撃機。分離・合体機能を持つ。
    • マードック号: 大型輸送機。バーディーなどを搭載する母艦機能を持つ。
    • スーパーマードック号: マードック号を改造した超光速宇宙輸送艦。武装も強化されており、新作パートでU40への航行と戦闘に使用される。本作における科学警備隊の主力メカ。
    • ベータミー: 地底戦車。
    • ステーションホーク: 宇宙ステーションEGG3に配備されている宇宙戦闘機。
  • ヘラー軍団: 戦闘機、戦艦、ロボット怪獣など多数のメカニックが登場する。

6. 映画の見どころと特徴

  • アニメーションならではの魅力: 実写では難しい、スピード感溢れる空中戦、宇宙空間での大規模な艦隊戦、ダイナミックな怪獣・ロボットアクションがアニメならではの迫力で描かれる。メカニックの緻密な描写も魅力。
  • TVシリーズの凝縮と新たな展開: 前半でTVシリーズの魅力をダイジェストで振り返りつつ、後半の新作パートでは、舞台を宇宙(U40)に移し、映画ならではのスケールの大きな物語が展開される。
  • ウルトラ兄弟、夢の共演: M78星雲のウルトラ兄弟がアニメーションで勢揃いし、ジョーニアスと共闘するシーンは、ファンにとって大きな見どころ。それぞれの光線技が一斉に放たれるシーンは圧巻。
  • U40の世界観: 光の国とは異なる、もう一つのウルトラの星U40の神秘的な風景や文化(建築様式など)が描かれる。
  • 豪華声優陣: 富山敬をはじめ、当時の人気・実力派声優が多数参加しており、キャラクターに命を吹き込んでいる。特にウルトラ兄弟の声優陣も豪華。

7. 音楽

  • 主題歌: 「ザ・ウルトラマン」(作詞:阿久悠 / 作曲・編曲:宮内国郎 / 歌:ささきいさお、コロムビアゆりかご会)
    • TVシリーズのオープニングテーマ。映画でもオープニングで使用され、作品を象徴する勇壮な楽曲。
  • エンディングテーマ: 「愛の勇者たち」(作詞:阿久悠 / 作曲・編曲:宮内国郎 / 歌:ささきいさお)
    • TVシリーズのエンディングテーマ。映画のラストを感動的に締めくくる。
  • 劇伴音楽: TVシリーズの音楽を担当した宮内国郎(『ウルトラQ』『ウルトラマン』など)と冬木透(『ウルトラセブン』『帰ってきたウルトラマン』など)の楽曲が使用されている。TVシリーズからの流用に加え、劇場版用にアレンジされた楽曲や新規楽曲も含まれている可能性がある。二人の巨匠による音楽が、物語を盛り上げる。

8. 評価、影響、ソフト化

  • 評価: 公開当時は、夏休みのアニメ映画として一定の動員を記録したものの、爆発的なヒットとまではならなかったとされる。内容については、TVシリーズのファンにとってはダイジェストとして楽しめる一方、総集編であることへの物足りなさや、駆け足な展開を感じるという意見もあった。しかし、アニメならではの表現やウルトラ兄弟の共演などは高く評価された。
  • 影響: ウルトラシリーズ初の長編アニメ映画として、シリーズの表現の幅を広げた意義は大きい。しかし、本作以降、しばらくの間ウルトラシリーズのアニメ化はOVA(オリジナルビデオアニメ)が中心となり、長編アニメ映画が作られることはなかった。シリーズ全体としては、アニメというアプローチも可能であることを示した作品と言える。
  • ソフト化: 過去にVHS、LDで発売された。その後、長らく入手困難な時期が続いたが、2000年代に入ってからDVD化され、後にBlu-rayも発売された。現在では比較的視聴しやすい環境にある。

9. まとめ

長篇アニメ映画『ザ☆ウルトラマン ウルトラの星へ!!』は、TVアニメ『ザ☆ウルトラマン』の魅力を凝縮し、さらにウルトラ兄弟の共演やU40での最終決戦というオリジナル要素を加えた、サービス精神旺盛な作品です。総集編という側面はあるものの、アニメならではのダイナミックなアクション、メカニック描写、そして宇宙を舞台にした壮大なストーリーは、今見ても色褪せない魅力を持っています。ウルトラマンジョーニアスという個性的なヒーローの活躍、そして光の国のウルトラ兄弟との夢の共演は、ファンにとって必見と言えるでしょう。ウルトラシリーズの歴史において、アニメという新たな地平を切り開いた記念碑的な一作として、記憶されるべき作品です。

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